「瞑想の森 内観研修所」での1週間_U理論と内観療法vol.1

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かなりマニアックな話である。

30代のころを振り返ると、人生のひとつの底つきを体験したと思う。仕事をやめたタイミングと前後して、それまでがむしゃらに働いてきたツケが体にきたのか婦人系の病気で入院と手術をすることになった。開腹手術の後に体力ががっくり落ち、転職活動もままならない。そうこうしているうちにリーマンショックが起こり、いきなり映像の世界は求人がなくなった。少し前まで外資系の投資ファンドが映画に出資する、、、なんて話を真面目にしていたのに。(今思うとそんな不確かな商品に投資をするなんておかしいのだが)年齢を考えると子どもも欲しいが、パートナーとの関係性にも遠慮があり何もできない。不安を紛らわすように病み上がりの体で毎晩大量のお酒を飲んでいた。500mlのビールを2本、焼酎、締めにウイスキーをロックで。あのままだったら確実にアルコール依存症になっていたなぁと思う。あー、こわ。

病気、無職、パートナーとの関係性・・・三重苦のそんなタイミングでふと思い出したのが「内観」と呼ばれる心理療法だった。少年院で刑務官をされていた大学の先輩が以前に教えてくれたもので、更生活動の一つとして親や家族との関係性を見直すものだと話していた。その時は少年院の話として聞いたが、その後書籍などを通じて、全国に何箇所か「内観研修所」というものがあるのを知っていた。1週間携帯電話もなく、外との連絡を一切絶ち、面接官以外の誰とも言葉を交わず、自分の内面と家族との関係性を見つめ直すのだという。以前から自分と両親との関係性にはいささか問題があると感じていた私は、1週間も休めることなんてないのだから思い切ってこの「内観」に行ってみようとおもった。そして栃木県にある「瞑想の森 内観研修所」で1週間お世話になった。

「内観」は極めてシンプルな手法で、過去の自分と家族の一人との関係性を3年ごとなど年代を区切って事実を観察していく。たとえば2時間かけて「4−6歳の時の、自分と母との間にあった事実」を調べていく。面接官の問いはいつも同じで「お世話になったことはなんですか?」「お返ししたことはなんですか?」「ご迷惑をかけたことはなんですか?」の3つだけだ。最初のうちはほとんど何も思い出せない。ところが人間の記憶というのは不思議なもので、3日、4日、と日が経つにつれて、昔住んでいた家の天井にあったシミの形だとか、当時履いていた靴の模様だとか記憶の奥底にしまい込まれていたものまでが詳細に思い出されてくる。それとともに、思いもよらなかった母との会話、父とのやりとり、自分の言動の記憶が呼びさまされ、驚くような事実に出会い直したりする。結論からいうと、私はこの内観を経験したことが人生のひとつの底つきだった。この体験から浮上して新たな生を創造し、生き直すことができたと思っている。内観をきっかけに、自分の両親や妹弟との関係性が劇的に改善され、圧倒的に生きやすくなった。(つづく)


2015年ひさびさに四回目の内観を終えたあと。研修所所長の清水ご夫妻と。表情もスッキリ

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